【武庫川女子大学×カツウラ化粧品】“母娘(ははこ)消費” を狙え! 産学連携プロジェクト報告会

武庫川女子大学井上ゼミとカツウラ化粧品の皆様

平成31年(2019年)3月11日、武庫川女子大学 生活環境学部 情報メディア学科の井上重信ゼミと株式会社カツウラ化粧品の皆様による、市長への活動報告会が西宮市役所で行われました。

報告会風景

報告会の様子(窓側に座っているのが武庫川女子大学の学生)

商品サンプル

商品サンプルと活動報告書

武庫女×カツウラ化粧品の産学連携プロジェクトも3年目。企業が提示した課題に対し、今年のゼミ生たちの立てた仮説と取り組みは?

カツウラ化粧品社長

カツウラ化粧品 勝浦社長

西宮市に本社を擁する株式会社カツウラ化粧品と、武庫川女子大学 情報メディア学科の井上ゼミとは2016年から産学連携プロジェクトを開始し、今年度で3年目を迎えます。

カツウラ化粧品からゼミ生に与えられた課題は、“スキンケアの大切さを伝えるためのプロモーション施策及び若年層への認知を向上するための施策の検討” というものでした。

この課題に今年のゼミ生はどのように取り組んだのでしょうか。

増える“ままも族”、・・・ターゲットは「仲の良い母娘」

発表するゼミ生(最初の発表者)

ターゲット設定の考え方について説明する森垣さん(中央)

「私たちは、母と娘の関係性に変化が起きていることに注目しました。母と娘で一緒に買い物へ行ったり、美容院やエステなどに通う“ままも族”という言葉がでてくるくらいに仲のいい母娘が増えています。」

であるならば、母娘の関係性が親密であれば、母か娘のどちらかが気に入ったものは一緒に消費するようになるのでは、という仮説がゼミで生まれました。

「カツウラ化粧品は “本来、年齢によってスキンケア方法を変える必要がない”という考え方でつくられた商品です。母娘どちらの世代のお肌にも合うという商品の特徴を生かし、“仲の良い母娘”をターゲットにしよう、ということになりました。」

ゼミ生は、仮説を検証するため、市内商業施設で母娘それぞれの世代にあたる人にアンケート調査やヒアリングを行いました。そして、ゼミでのディスカッションを経て、マーケティングコンセプトを定め、さらにはイベント販売時に使用する商品構成、説明や販促のための各種ツール作成、講習会用の動画制作などに取り組んだそうです。

ランチトートとデザインした学生

制作したランチトートとデザイン担当の濱田さん

 

“仲の良い母娘”をターゲットとするために、販促用のノベルティーにもいろいろなアイデアが盛り込まれました。例えばランチトートには、ゼミ生の濱田さんがデザインした、母から娘、娘から母に対する愛情を表すハート形のロゴがプリントされています。

「ハートの中に母と娘が頬を合わせてハグしている様子を描くことで、母と娘の仲の良さを強調しています。」

このロゴをプリントすることで、本プロジェクトでの限定商品という付加価値を加えることを目指し、ランチトートを制作したそうです。

文化祭、そして武庫女スマイルフェスへ(研究発表とイベント販売)

イベントの取り組みを説明する学生

イベントでの取り組みを説明する宮本さん(中央)

10月下旬に開催された文化祭では、SNSでの情報発信や、パネル展示、体験コーナーも設け、あわせてイベント販売を行いました。商品も完売できましたが、文化祭を振り返った時、ゼミで次のような反省があったそうです。

「イベントは大盛況だったのですが、準備段階では大きな反省点がありました。コットン巾着を発注する際に、ブランド名のロゴにミスがあったことに気付かないままデータ入稿してしまったのです。」

そのため、再度のデータ入稿やスケジュールの遅延など、関係者に大きな迷惑が掛かってしまったそうです。

「この失敗の反省から、それぞれ責任をもって行動すること、そしてメンバー間での情報共有を徹底しながら、次のイベント(武庫女スマイルフェス)に臨む、という意識づけができました。」

文化祭の様子

文化祭の研究展示コーナー(写真提供:井上ゼミ)

文化祭の様子

文化祭の販売コーナー(写真提供:井上ゼミ)

井上ゼミとカツウラ化粧品との連携プロジェクトは今年で3年目を迎えますが、今年は初めての取り組みにも挑戦することになりました。2019年2月にららぽーと甲子園で開催される「武庫女スマイルフェス」に参加し、一般の来館者向けに研究発表と商品販売を行うことになったのです。

2日間にわたって開催されるスマイルフェスでは、お客様の動線を考慮し、「研究内容(パネル展示)→体験→商品購入」という順になるよう設計するなどの工夫を行いました。しかし、初日は予想したほど客足が伸びませんでした。

「初日終了後全員で検討会を行いました。そして検討内容を踏まえ、レイアウトの変更やパネルの追加制作などを行いました。その結果、2日目には売上を伸ばすことができました。」

「しかし、学生が多く集まる文化祭と、ファミリー層が多いららぽーと甲子園とでは、購買行動も購買目的も異なっています。このことをもっと意識し、工夫すればよかったのではないかというのが全体としての振り返りです。」

スマイルフェスの様子

武庫女スマイルフェスのスタッフで(写真提供:井上ゼミ)

スマイルフェスの様子

武庫女スマイルフェスの様子(写真提供:井上ゼミ)

ゼミ生による振り返り

今回の連携プロジェクトを通してゼミ生は何を感じ、体験することができたのでしょうか。

ゼミ生の感想を活動報告書から抜粋して紹介します。

井上七海さん:
「学ぶことがたくさんあり、自分自身が成長することができました。マーケティングコミュニケーションについてはもちろんのこと、販売する際の人とのコミュニケーションの取り方や、ディスプレイの飾り方、ブースのレイアウトなど様々なことを経験することができました。」

今中綾香さん:
「本プロジェクトでは今までにないほどのやりがいや達成感を感じられました。チームで動くことの大変さや、チームだからこそ生まれる相乗効果を実感しました。本当に貴重な体験をさせていただきました。私にとって素晴らしい期間となりました。」

柏谷沙耶さん:
「ポスターやビラ、パネル等を制作していました。お客様に興味をもってもらうために、レイアウトや配色のすべてにこだわりました。大変なことも多かったですがとてもやりがいを感じられ、こだわりをもってやりぬくことの大切さを学ぶことができました。」

中尾友香さん:
「ららぽーと甲子園のイベントでは、思っていたよりも足を運んでくれる人がおらず、世間に向けて自分たちの考えを発信することの難しさを知りました。このメンバーとプロジェクトをできたことは、私にとってかけがえのない時間です。」

濱田真子さん:
「イベントに向けゼミ生が協力し課題を1つ1つクリアしていくことが何より楽しかったです。また、企業様と直接連絡をとる機会も多く、社会人としての基礎を身に付けることができたと感じています。」

廣澤真帆さん:
「最も大変だったのは、ららぽーとで開催したときの集客で、歩いている人の気を引く工夫が難しかったです。ですが、1日目の反省を2日目に活かすことができたのは私たちが大きく成長した部分だと感じています。」

宮本栞里さん:
「研究内容を学外に向けて展開することで、研究室では学ぶことができない、現場の顧客の反応やニーズ、それによる研究内容の未熟な点を知ることができてとても勉強になりました。今後、課題解決の分析や提案をする際も実務的な視点を持って取り組もうと思います。」

森垣日菜子さん:
「今回リーダーを務め、グループをまとめる大変さを学びました。バランスよく、また効率にどう進めていくか悩み躓きました。これからもグループ活動の機会はあるはずです。そこで今回の経験を活かすことができたらなと思います。」

山本優花さん:
「イベントを通して、目的でない人にどうやったら興味を示してもらえるのか、事前にもっと宣伝やアプローチをできたのではないかと感じます。自分たちが作った商品が手にとってもらえたときは達成感を得ることができました。」

学生さんたち

井上ゼミの皆様(左から順に、井上さん、山本さん、柏谷さん、廣澤さん、中尾さん、濱田さん、今中さん、宮本さん、森垣さん)

連携プロジェクトの感想と評価

ゼミ生の発表を受け、カツウラ化粧品の田中さん、山中さんからは次のようなコメントがありました。

「私は初めてこのプロジェクトに参加致しました。大変貴重な体験をさせて頂き感謝しております。このプロジェクトの経験を、今後の仕事に活かしていきたいと思います。」(田中さん)

「プロジェクトも3年目になりますが、また今年度も新たな体験ができました。特に動画作成は、昨年度より更に深い内容のため作成当初から関わり、初めてのことも多く苦労しましたが、沢山の刺激をもらえたこともありがたい経験です。」(山中さん)

カツウラ化粧品のみなさん

カツウラ化粧品の皆様(向かって左から、田中さん、山中さん、勝浦社長)

そして、勝浦社長からも、
「カツウラ化粧品は祖母から母、母から娘へと3世代にご愛用されています。その事からも母と娘の関係性に注目したテーマは興味深いものでした。武庫川女子大学・井上ゼミとの連携プロジェクトは、テーマの設定から販売までを学生の皆さんが主体で行うことが重要なポイントです。企業主体の連携プロジェクトより多くの難題はありますが、井上ゼミの皆様は最大限に努力をされていました。」
と、ゼミ生の取り組みを評価し、ねぎらうコメントがありました。

 

井上先生

武庫川女子大学 井上先生

井上先生からは次のような話がありました。
「一般客向けに研究発表を行うことや、カツウラ化粧品様からの要望で実際の販売現場や美容講習会で使う動画制作を依頼されるなど、最終的なアウトプットに高いクオリティが求められる内容がこれまでに比べて多くなりました。」

「各人が自分たちの役割をしっかり行うことは当然のこととして、意見を出し合い、議論し、そしてお互い助け合ってプロジェクトを進める中で多くの学びを得ることができたと思います。」

活動報告をお聞きして

報告を聞く市長

活動報告後に歓談する市長(中央)

活動報告の後、全体での歓談が行われました。市長とゼミ生のやりとりに一同から笑いが洩れるなど、和やかな歓談となりました。

活動報告にお越しいただいた武庫川女子大学 生活環境学部 情報メディア学科の井上重信先生とゼミ学生の皆様、株式会社カツウラ化粧品の皆様、ありがとうございました。

この記事に関するお問い合わせ先

西宮市大学交流センター
(所管:西宮市地域学習推進課)

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更新日:2019年03月20日