兵庫医科大学 学生インタビュー

インタビューを受ける大学生三人を写した写真。本が多数入ったワゴンを押している様子。

有志が集う「ボランティア部」に所属し病棟での『移動図書館』などの活動を継続!

開学から40年以上の歴史を持つ兵庫医科大学は、医学教育研究機関であると同時に、地域医療の中核を担う医療機関として西宮市民にとっては非常に身近な存在です。こちらの大学病院病棟内において“名物”となっているのが、同大学のボランティア部が毎週2回実施している「移動図書館」。書棚を押す学生たちが病棟に姿を見せると、すぐに入院患者さんたちから「今日はどんな本があるん?」「楽しみにしていたよ」という明るい声が飛び交うのだそうです。忙しい授業の合間をぬって、なぜ学生たちはボランティア活動を続けているのか、3人の3年生に話を聞いてみました。

インタビューを受ける大学生が写った写真。たくさんの本が並んでいる本棚の前に立っており、手にも本をたくさん持っている。

兵庫医科大学 医学部 3年生
田中 和幸さん

兵庫医科大学ボランティア部の学生

兵庫医科大学 医学部 3年生
中山 佳奈さん

兵庫医科大学ボランティア部の学生

兵庫医科大学 医学部 3年生
宮澤 亜理彩さん

自然体の患者さんとふれあえる貴重な機会

ボランティア活動中の学生を写した写真。本が入ったワゴンを押している。

―まずはボランティア部の活動内容を教えてください。

田中さん:現在の部員は50名ほどで、活動するのは火曜と水曜の週に2回です。どちらか1日だけの参加でも大丈夫ですので、他の部活動と兼部している人も非常に多いですね。現在、ボランティア部の部長を務めている僕自身も、実はアメフト部との兼部なんですよ。「参加できる日に参加する」というスタンスで活動できるからこそ、みんなが長く続けられているんだと思います。

中山さん:活動する日には、本を積んだワゴンを4人1組で各病棟のナースセンター前まで運んでいき、そこで「移動図書館」を開きます。入院時に利用者登録だけしてもらい、あとは現場でパソコンを使って貸し借りを管理していますので、誰でも簡単に本を借りられるようになっています。長期間の入院生活に退屈されている患者さんも多いので、そういった方には特に感謝されますね。実はこの図書館、蔵書のほとんどは患者さんたちからの寄付で成り立っているんですよ。入院時に移動図書館の存在を知り、退院するときに自分が読んでいた本を寄付してくれる方も多いですね。
宮澤さん:週2日の移動図書館以外にも、長期入院している中高生たちに勉強を教えたり、小児科に入院している小学生以下の子どもたちを対象に「夏まつり」を開催したり、さまざまな活動を行っています。去年の夏まつりでは、輪投げやボウリングなどができるゲームコーナーをみんなで作りました。子どもたちも喜んでくれたようで、本当によかったです。
ワゴンで運ばれている本をアップで写した写真。分厚い本が何冊も並べられている。

―皆さんはどうしてボランティア部に入ろうと思ったのでしょうか。

田中さん:兵庫医科大学は敷地内に大学病院があり、授業の中で実際の患者さんと接する機会もあるのですが、授業ということで、やや身構える患者さんも多いので、自然な形で交流できるわけではありません。その点、ボランティア部の活動の中では自然体の患者さんとふれあうことができますので、「自分にとってプラスの経験になる」と思って参加することにしました。

中山さん:私も入部理由は同じで、「もっと患者さんと話す場を持ちたい」と思ったからです。実際にボランティア活動に参加してみると、患者さんと本当に他愛ない話で盛り上がったりして(笑)、授業の合間の気分転換にもなっています。

ボランティアを通して患者さんからも活力をもらう

―活動をする中で特に気を付けていることはありますか。

ボランティア活動中の学生が、本の表紙にカバーを貼っている様子が写っている。

宮澤さん:ボランティアを始めた当初は、移動図書館で病棟を回る時に、どのように患者さんに声をかけていいかすごく悩んだことを覚えています。「いろんなことに不安を抱えている患者さん、実際に痛みを感じている患者さんの前に行って、本当に私たちは歓迎されるのかな・・」って。でも、実際に病棟を回ってみると、思いのほか移動図書館を楽しみにしてくださっている方が多いことにすぐ気付きました。以来、患者さんとは笑顔で接することができていると思います。

中山さん:利用者は入院患者さんばかりなので、なかには点滴をしたままで本を借りに来られる方もいらっしゃいます。大量に借りられる方だと、病室へ本を持ち帰るのも大変みたいで…。そこである時からは、個人的に病棟へ紙袋を持っていくようにしました。そういった患者さんを見かけたら、紙袋に本を入れてお渡ししたり、あるいは一緒に紙袋をベッドまでお持ちしたり。ボランティア経験を重ねるうちに、どんなことで患者さんが困っていらっしゃるのかをじっくりと考えられるようになってきました。こういう機会がなければ、なかなか気付かなかったことかもしれませんね。

 

―特に印象に残った、患者さんとの出来事などはありますか?

ノートパソコンで作業をする学生

田中さん:つい最近のことなんですが、ある高校3年生の女の子の学習サポートをしたんです。彼女は長期間入院していてなかなか学校にも行けていなかったんですが、それでも「看護師を目指したい!」と言っていて。現場の看護師さんからその話を聞いて、僕が勉強を教えることになりました。サポートを始めてすぐに気づいたんですが、彼女は勉強に対する姿勢がとにかく真剣だったんですね。「あぁ、この子は本当に看護師になりたいんだな」って。ちょうどその頃は、僕自身、毎日の勉強が忙しくて、将来自分がどのようになりたいのかについて考えるのを少し放棄していたタイミングだったので、どれだけ自分がぼーっとしてしまっていたのか気付かされて、本当に刺激になりました。

宮澤さん:確かに、ボランティア活動とはいえ、何かを人に「してあげる」だけではなく、同時に患者さんから何かを「もらっている」ような感覚がありますね。本を借りた患者さんが「ありがとう」って声をかけてくれると、やりがいを感じたり、充実感を味わったりすることができます。これは、大学の授業を受けているだけではなかなか味わうことができなかった感覚だと思いますね。

西宮市での学生生活ってどう?

宮澤さん:1回生の時に、近くにある関西学院大学との交流授業がありました。通常、医科大学は単科であることも多く、なかなか他大学の学生と交流がないことも多いのですが、市内に大学が多いぶん、大学同士の連携が活発だったのは良かったですね。

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更新日:2018年02月28日