兵庫医科大学 学生インタビュー
「まず人がいて、病気がある」在宅ケア実習で血の通った医療の在り方を学ぶ。
武庫川河畔の風光明媚な場所に建つ兵庫医科大学。ここで医師を目指して学ぶ学生たちは、地域社会の中での医療の在り方を学ぶため、3回生になると在宅ケア(訪問看護)の実習に参加します。実習の様子を紹介するとともに、実習に参加した藤村さんのインタビューをお届けします。
患者さんの生活に寄り添う「在宅医療」の現場に触れる。
少子高齢化が進行する日本において、地域医療の柱として注目されている在宅医療。その理解を深めるため、兵庫医科大学では3回生の学生を対象に在宅ケア(訪問看護)の実習を実施しています。さまざまな事情で通院や入院が困難な状況にある患者さんのために、患者さんの自宅において医療のサポートを提供するのが在宅ケアです。実習が行われる西宮市訪問看護センターでも、数多くの患者さんをサポートしています。
実習は2日間にわたって行われ、患者さんの目線にたったコミュニケーションを学びます。医療従事者として姿勢やマナーをオリエンテーションで学んだのち、訪問看護センターでの実習がスタートします。
実習は訪問看護センターで毎朝行われているミーティングへの参加から始まります。ミーティングでは各担当者が患者さんの状況について共有を行います。退院後の経過報告や家族の状況など、細かいところまで報告がなされます。ミーティング後は在宅ケアへの同行実習です。担当の看護師さんと一緒に、実際に患者さんの自宅を訪問し、在宅ケアの様子を見学します。体温、血圧などを測定し、客観的に患者さんの状態を把握します。問診では、体調面だけではなく、生活や趣味に関することなどさまざまな情報を基にアセスメントします。実習生も患者さんとの対話に参加するなどして、在宅ケアのリアルな現場に触れます。実習の最後にまとめとして、2日間を通じて体感したことを整理、発表します。
カルテじゃなくて、患者さんの顔を見て診療する医師になりたい。
―医師を志した動機はなんですか?
藤村さん:小学生の頃に見たニュースです。救急で運ばれた母子が、受け入れ態勢の不足から医療機関を受診できずに亡くなってしまったというニュースが、心に深く刻まれています。「僕がなんとかしなきゃ!」と子どもながらに思ったことをよく覚えています。高校生になって進路を考えたときにそのことを思い出し、本格的に医師を目指すことにしました。現在は小児科や産婦人科医を目指して勉強しています。
―2日間の実習を通じてどんな事を感じましたか?
藤村さん:実習に参加する前は、訪問看護と聞いて「寝たきり」の患者さんを想像していました。でも、実際はご自身で玄関まで迎えに来てくれたりして、さまざまな状態の人がいるんだということを知りました。また、患者さんとのコミュニケーションも、学ぶことが多かったです。相手の話を肯定的にとらえて、話の背景まで含めて聴く姿勢が大切だと感じました。「病気の人」がいるんじゃなくて、まず人がいて病気があるんだと思いました。
―普段はどんな大学生活を過ごされていますか?
藤村さん:入学前から覚悟はしていましたが、勉強量が多いですね。2年生までは体の仕組みなど基礎的なことを学びますが、3回生になると臨床の授業も始まります。1日3時間~5時間ぐらい、テスト前には8時間ぐらい勉強していますね。
―では、勉強ばっかりの大学生活?
藤村さん:いえ、そこまでではないです。僕はソフトテニス部に所属していますし、アルバイトをしている学生もいます。時間をうまくやりくりすれば遊ぶ時間もありますよ。
―西宮という町の印象は?
藤村さん:町がキレイで清潔感がありますね。買い物や日常生活に困ることもなく、とても過ごしやすいです。大阪や三宮に出るのもアクセスが良くて便利です。
―将来はどんな医師になりたいですか?
藤村さん:もともと、へき地(医師不足地域)医療に従事するための推薦枠で入学しているので、卒業後はへき地で9年間勤務することになります。地域や現場に入って、しっかり頑張りたいです。カルテを見て人を見ない、病気にしか興味がないような医師ではなく、ちゃんと患者さんと向き合って、目を見て診療ができる医師になりたいです。
―進学を目指す学生にメッセージを。
藤村さん:学ぶことは多岐にわたりますし、厳しいことも多いけど、志のある人にとってはしっかりと実力がつく大学だと思います。学ぶ環境は整っているので、あとは自分次第。ぜひ頑張ってください。
更新日:2020年04月03日