【兵庫医科大学】簡便な予測モデルを利用することで脳卒中の疑いがある患者の早期治療を可能に

~病院前脳卒中病型判別モデル「JUST Score」の新モデルを開発~


【兵庫医科大学WEBサイトより転載】

兵庫医科大学(所在地:兵庫県西宮市、学長:野口 光一) 脳神経外科学講座 主任教授 吉村紳一らの研究グループは、2018年7月、早期に専門的治療を要する脳卒中の疑いがある患者を、救急隊員などが適切な治療施設へ直接搬送することができるように、病型予測を瞬時に行える病院前脳卒中病型判別システム「JUST Score」を開発しました。
そしてこの度、従来モデルをさらに改良し、より早期の治療を可能にする新モデル「JUST-7 Score」の開発に成功しました。

「JUST Score」について

2018年7月に兵庫医科大学の研究グループが開発した、救急隊員が救護現場で脳卒中の種類を容易に見分けることができるシステム。「年齢」や「けいれんの有無」など救急搬送患者に関する評価項目をチェックするだけで、高い判別度で脳卒中の病型(※1)を瞬時に予測することができるため、画像検査が行えない発症現場で、脳卒中の疑いがある患者に対して適切な治療施設へ直接搬送できるようになった。複数の脳卒中の病型を予測するモデルの開発は当時としては世界初であった。

※1 評価項目例…脳の太い血管(脳主幹動脈)が閉塞した脳梗塞、その他の脳梗塞、脳出血、くも膜下出血

 

新モデル「JUST-7 Score」の改良ポイント ~早期発見・早期治療を可能に~

前モデルの使用により、脳卒中の疑いがある患者に対しては、早い段階で治療施設へ搬送できるようになったが、評価する症候が「21項目」もあったため、脳卒中の判別に一定の作業時間が必要であった。今回の新モデルでは、「7項目」をチェックするだけで判別ができるため、作業時間が短縮され、治療施設に搬送できるようになった。その結果、より多くの患者に対して、脳梗塞だけでなく、脳出血、くも膜下出血という一刻を争う専門的治療が可能になった。

 

【新モデルの開発方法】

「JUST Score」の開発時に収集した2,236例をもとに、救急隊員が発症現場で評価可能な項目(※2)を用いて、より少ない項目で判別できるか再解析をした。再解析の結果から7項目でほぼ同程度の判別能力を有することが示唆されたため、新たに収集した964例を用いて病型判別能力を検証した。

※2 評価項目例…年齢、収縮期血圧、拡張期血圧、不整脈、共同偏視、痙攣、構音障害、めまい、嘔気・嘔吐の有無、突然の発症かどうか、発症後、症状が軽快した、発症後、症状が増悪した、意識障害、顔面の麻痺、上肢の麻痺、下肢の麻痺、空間失認(無視)、既往:脳梗塞、喫煙の有無

 

〇(参考)「JUST-7 Score」のパソコンまたはスマートフォンでの閲覧画面

JUST-7 Score入力画面

入力画面

JUST-7 Score入力結果判定画面

入力結果判定画面

今後の展望

Web上で「JUST-7 Score」を利用できるようにすることで、救急隊員のみならず、開業医などでも、発症直後から脳卒中の有無や病型の予測を簡便に行えるようにしたい。さらに、世界中の医療従事者が利用できるように、英語版も作成する予定である。今後も病院前脳卒中病型判別の的中率を上げるために、さらなる継続的な研究・開発に努めたい。

 

発表論文情報

Uchida K, Yoshimura S, Sakakibara F, Kinjo N, Araki H, Saito S, Morimoto T; JUST score investigator. Simplified prehospital prediction rule to estimate the likelihood of 4 types of stroke: The 7-item Japan urgent stroke triage (JUST-7) score. Prehosp Emerg Care. 2020 Jul 23:1-14.
 

JUST-7 Scoreイメージ図


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更新日:2020年08月27日